皆さん、こんにちは。
警備の仕事では、その業務内容によって様々な労働災害になりうる事故が常に隣り合わせであって、警備員は日々危険が付きまとう業務内容を行っているという気持ちで業務に当たらなければなりません。そこで今回は警備業における労働災害について、新宿労働基準監督署内警備業の「令和3年警備業における労働災害発生状況」と厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課の「令和3年労働災害発生状況の分析等」を用いながら状況と対策について話を進めていきたいと思います。
労働災害とは
まずはそもそも労働災害とは、どのようなものかを簡単に説明していきますと、労働者が業務に起因して被る災害の事になります。労働者が、労働に関わる場所や状況によって起こる事故・疾病のことです。労災と認定される基準は、労働基準監督署による判断のもとに決定されることなので、会社側が判断できない場合は、必ず社会保険労務士または労働基準監督署に相談することが望ましいです。雇用主判断で決めてしまうと思わぬ事態を招きますので、そうならないためにも専門機関に問い合わせが必要です。
それでは警備業の労災状況はどのようになっているのか?
警備業務の場合は常に危険と隣り合わせの業務が多いため労災事故は多くなる傾向にあります。また重大災害に至ることもあるので十分な注意が日々の業務において必要となり、それでも年々労災は増加傾向にあります。
警備業における主な労災内容は、「転倒」「墜落・転落」「動作の反動・無理な作業動作」「交通事故」などによるものが多く、誰でも事故の当事者になりうるため常に細心の注意を払わなければなりません。
警備業界で起こった事故の割合は?
令和3年の結果では、令和2年と比較すると警備業界における労働災害発生状況は増加傾向にあります。労災や死亡の原因となった割合を見ていきますと、「転倒」が45%、「動作の反動・無理な動作」が17%、「墜落・転落」が15%、「交通事故」が4%、「その他」が19%となっております。
さらに厚生労働省の発表によると28人の死亡労災が発生しています。警備業の業務中には危険が常に潜んでいることが数値からも分かります。では、これらの内容から警備業が抱えている危険・労災となった原因は何であって何故起こりうるのかを推測になってしまいますが考えていきたいと思います。
引用・参考資料:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課
「令和3年労働災害発生状況の分析等」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/s21-16.pdf
引用・参考:令和3年警備業における労働災害発生状況(新宿労働基準監督署内警備業)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001045668.pdf
要因とは
警備業では4つの警備内容に分かれている。
1号警備(施設警備・巡回警備・保安警備・空港保安警備・機械警備)
2号警備(交通誘導警備・雑踏警備)
3号警備(貴重品運搬警備・核燃料物質等危険物運搬警備)
4号警備(身辺警備)
まず「転倒」の割合が一番多い要因として
どの警備業務でも起こり得ることだからです。その原因は不注意や見落とし・確認不足で起こることが多いでしょう。
その中でも過去の状況からみても「転倒」が多いのは1号警備になると思われます。
なぜなら1号警備の際は暗がり等で視界が満足に確保出来ないことや、見落とし、不注意などで、物や段差につまずく、階段を踏みはずすなどで起こるためです。
また「墜落・転落」になる可能性も潜んでいるため、日夜問わず1号警備を行う際は、足元や視界、状況に十分注意して、隊員同士で情報の共有や注意喚起を行い周囲を意識しながら慎重に行うことが望ましいです。
つぎに「動作の反動・無理な動作」の要因とは
無理な体勢や急な動作などから起こることが多いため、業務に当たる前に個々人が日々セルフチェックを行い自身の体調や体に変化を注意深く意識することが必要です。またストレッチ・しっかりと睡眠を取るなどを意識して自身の管理を怠らず日々の業務に当たるのが必要です。
「交通事故」の要因とは
必然的に道路や工事現場に立つ2号警備のリスクが最も多くなるでしょう。
なぜなら一般車両や工事車両を常に相手にする業務であるため、交通事故にあうリスクは非常に高く、また重大な災害に繋がる可能性もあるため警備業務の中でも死亡労災が一段と多いのが現状です。そのため常に周囲確認を徹底することや常に危険なポイントに目を配ること・運転手を注視すること・道路上の環境、天候等の状況も考えて業務に当たるなどの対策を行うことだと思います。
「その他」(考えられること一例)3号・4号警備でのこと
貴重品を守る3号警備と要人を守る4号警備は強盗や暴漢からの襲撃などの可能性があります。警備対象が「現金」や「貴重品」・「要人」となり、何が起こるか分からないため不測の事態を想定し、警備体制を構築することが重要です。
忘れてはならないもう一つのその他
熱中症は警備業務の中では特に労災事故の報告が多いとのことです。熱中症は、誰もがなりうるものです。
夏場は特に気を付けなければならないことですし、自身で出来る対策・会社が出来る対策を上手く結び付け、熱中症のリスクを少しでも減らす施策をすることや、業務管理・健康管理を十分に行い、熱中症の予防に努めてほしいと思います。
警備業務中に労災事故に遭わないための対策
先に述べたとおり、警備業界では、様々な要因と原因によって年々労災事故が増えており、最悪の場合死に至ることもあるため細心の注意が必要であり、危機管理や安全行動が求められます。現場・周囲・環境など何処にどんな危険が潜んでいるか分からないため、危機感を常に持つことが対策に繋がりますので、常に危機感をもって業務にあたることが重要になると思います。警備業では、お客様の要望により様々な警備業務が存在します。どのような警備業務を行う場合であっても、警備の仕事には危険が付きまといます。警備の種類を問わず、警備員の皆さんは、慎重に行って頂きたいと思います。また、警備会社でも労災防止のために講習や会社全体で意識を高めていく必要があると思います。
まとめ
今回は「警備の労災事故について状況と対策」を紹介しました。警備の労災事故は年々増えてきています。しかし、慎重に業務にあたれば防げることは多々あると思います。警備の仕事には常に危険が潜んでいるため業務に当たる際は注意して行っていただき少しでも労働災害が減っていけば幸いです。そのためにも警備員の皆さん1人ひとりには安直な考え・安易な考え・過信・軽率な行動などの考えや行動は出来るだけ取らないことをお願いし、不安全行動を排除する心構えや行動をしていただき、警備業の労災防止・撲滅に努めていってほしいと願っています。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。