警備業界では、依然として人材獲得が難しい状況が続いており、折角採用したとしても定着率が低く、離職率が高いため人材不足に困っている警備会社は多いのではないかと思います。
また、2025年問題も間近に迫っています。
企業では対策を行っていると思いますが、なかなか離職率が下がらず、また定着率や従業員のモチベーションが上がらないなどの悩みを抱えているのではないでしょうか?
今回の内容は、その悩みを解決に導くための方法についてになります。

まず、はじめに近年、企業において従業員エンゲージメントの重要性が高まっています。
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の向かっている方向性や企業理念、目的やビジョンに共感し、従業員自ら「主体的」「自主的」「積極的」「能動的」に働くことができる状態であり、企業に貢献したいと思う意欲のことを指します。従業員エンゲージメントを高めることで、従業員のモチベーションや生産性の向上につながり、また離職率が低下し、定着率が高まるなど様々なメリットをもたらします。このことから従業員エンゲージメントの重要性は、理解できると思います。また従業員エンゲージメントを簡単に表すと『従業員の企業への信頼度』や『企業と従業員との繋がり・絆の強さ』などの意味になります。
しかし、その重要で大切な従業員エンゲージメントについて残念なことに、日本の企業における従業員エンゲージメントは世界最低水準という調査結果もあり、今後さらに厳しい状況の中で企業が生き抜いていくためには改善が必須とされています。そこで今回は、従業員エンゲージメントを高めるために、まず必要不可欠で大切な構成要素について解説等をしていきます。この記事が、貴社の従業員エンゲージメント向上の参考になれば幸いです。

 

【従業員エンゲージメントを構成する3つの要素】
従業員エンゲージメントを高めるためや維持または更なる向上には、まず従業員エンゲージメントを構成する要素を理解しておく必要があります。ここでは【必要不可欠で重要な構成要素】である「理解・共感」:「帰属意識」:「行動意欲」の3つのポイントについて、紹介と解説をしていきます。

【理解・共感】
従業員エンゲージメントの重要な構成要素の1つ目は『理解・共感』です。
理解・共感とは、従業員が企業のビジョンや方針を理解し、共感していることを指します。企業と従業員の方向性が一致することで、共感が生まれ、従業員が当事者意識を持てるようになり、仕事に対する意欲、やる気、責任感が高まることで業績向上につながりやすくなります。逆に、従業員の理解度や共感度が低い場合は、仕事に対するモチベーションが低下し、業務の効率や品質が悪化することがあります。また、離職リスクも高まります。

そのため、企業は従業員の「理解度・共感度」を高める必要があります。企業が持つ経営理念やビジョンまたは方針を明確に伝え、従業員に周知することが重要であり、従業員が企業の目的やビジョン・方向性に対して理解・共感を深めることができます。また、従業員との意見交換の場を設けることも大切です。こういった取り組みを行うことで、従業員が企業に対して意見や質問・提案・フィードバックをすることが簡単にできるようになります。さらに、管理職や上司、同僚との情報交換など、遣り取りしやすい環境を整えることで、ビジョンや方針についての疑問や不安を解消し、より多くの従業員が理解し共感できるようになります。従業員が企業に対して積極的に関わることで、『理解・共感』を更に深めることができます。そのためにもコミュニケーションの促進が重要になります。これらの取り組みを行うことで、業務の生産性や効率、品質が向上すると同時に、従業員の離職率の低下につながることが期待できます。

 

【帰属意識】
従業員エンゲージメントの重要な構成要素の2つ目は『帰属意識』です。
帰属意識とは、自分が組織やチームに所属している一員であることを自覚し、愛着や誇りを持つことを指します。従業員が企業に帰属意識を持つことは、企業と従業員の双方にとってメリットがあり大切なことです。帰属意識が高い従業員は、仕事に対して熱心に取り組み、組織やチームのために貢献したいという気持ちが強くなり、それによって共感度が高まり、従業員エンゲージメントが向上し、企業の成果にもつながります。

「帰属意識」を高めるためには、組織やチームの成果や貢献を評価し、称賛することが大切です。また、従業員同士の交流を促すことで、従業員がお互いを理解し、人間関係やチームワークを良好にすることで仲間意識が育み、協力関係を築くことができます。組織全体のコミュニケーションの改善やチームビルディングにもつながるため、従業員の帰属意識を高めることは重要な取り組みです。また、従業員が自分の能力や個性を発揮できる仕事環境を提供することも、帰属意識を高めるために重要になります。例えば、フレックスタイム制度やテレワークなどの導入や、従業員が自分のアイデアや発言など自由に提案できる環境の整備などがあります。したがって、帰属意識を高めることは、従業員のエンゲージメント向上や組織の成果にとって非常に重要な要素となります。企業が従業員の帰属意識を高めるための取り組みを行い、従業員が自分たちの仕事に誇りを持てる環境を整えることで、組織の発展につなげることができます。

 

【行動意欲】
従業員エンゲージメントの重要な構成要素の3つ目は『行動意欲』です。
行動意欲では、組織の成功のために従業員が主体的、自主的、積極的、能動的に業務に取り組む行動をすることを指します。行動意欲を維持または高めるためには、従業員が成果に対する適切な評価や、やりがいを感じられるようにすることが必要です。

具体的には、企業から従業員に対して成長・キャリアアップの機会や、従業員自身の能力やスキルなどを伸ばす研修などが挙げられます。こういった取り組みを企業が従業員に提供することが、行動意欲を高める大切な要素になります。さらに必要なのは、業務に対するフィードバックの提供です。従業員が自分の業務に対してフィードバックを受けることで、自分自身の成長や改善点を意識することができます。定期的な面談やフィードバックシステムの導入などが効果的です。さらに、企業が従業員をサポートすることも重要です。例として、業務に必要な道具や機器の提供、働く環境の改善、福利厚生などが挙げられます。企業は様々な支援やサポート・機会を提供することは、従業員の行動意欲やモチベーション維持につながる大切なことです。これらの取り組みにより、適切な評価が行われ、成長やキャリアアップなどの機会提供をされることで、従業員は自分が企業や組織にとって重要であると感じることができ、仕事に対して意義を見出すことができます。また、従業員が自分自身の役割や貢献が、組織全体の目的や価値観と一致することで生産性が上がり、企業の発展にも大きく影響します。したがって、企業にとっても従業員にとってもメリットのある「行動意欲」を高める取り組みは重要となります。

 

【まとめ】
従業員エンゲージメントを高めるためには、「理解・共感」「帰属意識」「行動意欲」の3つの構成要素が必要です。ですので、従業員エンゲージメント向上には、まず企業は自社独自の従業員エンゲージメントに必要不可欠な構成要素を把握し作り上げ、どうすれば構築できるのかを常に考え、実現するために取り組んでいかなければなりません。

従業員エンゲージメントの向上は、企業にとって非常に重要な要素であり課題の一つです。その向上には膨大な時間や労力が掛かります。しかし、従業員エンゲージメントを高めることで、企業と従業員の双方にとって多大なメリットが得られ、企業の成長につながることは勿論のこと、従業員の幸福感や満足度も向上します。その結果、企業の更なる発展の可能性が広がり、離職率や欠勤率が低下し、定着率が向上します。さらに、新たな人材が集まるといった好循環を生み出すことができます。そのためにも、企業は従業員エンゲージメントの重要性をしっかりと認識して積極的に取り組んでいくことが必要になります。

企業は従業員エンゲージメントを重要視し、積極的に取り組むことで相乗効果を得ることができ、より良い企業成長につながっていくのだと思います。そのためにも、企業は自社独自の従業員エンゲージメントに必要不可欠な構成要素の重要性を理解し、しっかりと作り上げて取り組んでいかなければ、根本的な解決にはならないのだと思います。